内緒だよ

リニューアルに当たってなんかカッチョいいブログ名にしようと思ったけど、ぼくのブログとしか言いようがないや。

ちんげカーペット

プロフィール帳って知ってる?僕が小学生の頃、女子の間で無茶苦茶流行った。
たれぱんだとかしずくちゃんとかこげぱんとか、当時のゆるキャラのキャラクターグッズで、生年月日だとか血液型だとか好きなタイプだとか文字通りプロフィールを色々記入していく紙だ。女子はおそらく色んな人のものを集めていたのだろう。先生にも書いてもらっている子もいた。何のために集めていたのか、集めてどうしていたのかは知らない。おそらくただ集めていただけなのだろう。
小学生、特に高学年の男子は、大きく分けて、女子にプロフィールを書いてと頼まれる男子と、頼まれない男子に二分される。僕ら野球坊主三人組は、頼まれない男子だった。あるいは、サッカー部の別所くんが女子に書いてーと言われてる側で所在なさげにうろうろしていたら、あんたも書く?と例の紙を渡されるレベルの男子だった。つまり、何が言いたいかというと、モテてはなかった。嫌われてもなかった、とは思う。


ある日「総合学習」という科目の授業で、班ごとに何かを調べて、模造紙にまとめて発表するというのがあった。何を調べたのかは忘れた。保健所の仕事内容だったかな?
とにかく、僕らの班の男子は健ちゃん、大野、僕の例の三人組で、女子三人はどの子もタイプは違えど、結構可愛いじゃんって子らで、授業中に作業が終わらなかったか何かで健ちゃんの家で作業をすることになった。僕ら男子は浮かれていた。でも誰も口にしなかった。誰が可愛いとか、好きだとか、そういう男子トークをするのはもっと年がいった後のことだ。小六にとっては何かそういうことを言ったら「負け」みたいな空気が流れていた。でも実は僕はちょっとボーイッシュな健康的な肌をした横瀬さんのことを好ましく思っていた。
作業する日、男子は集合時間の3時間前に来いと健ちゃんから御達しがあった。どうしてと聞くと、いいから来い、と。健ちゃんは三人の中ではリーダー格だったから大野と僕は腑に落ちないながらも、ちゃんと時間通りに行った。
到着すると神妙な面持ちで健ちゃんは待っていた。なぜか部屋にはバリカンと、剃刀が2つ並んでた。
まずは、お前ら髪を剃り直してこい、5厘だ、と言ってきた。
野球部だった僕らは普段から坊主にしていたので、髪を剃ることは問題なかったのだけど、何故このタイミングで、とは思った。でも健ちゃんは相変わらず有無を言わさない迫力で、僕らには?が頭には浮かびながらも、素直に頭を清めた。
部屋に戻ると健ちゃんは今度は、剃刀を渡してきた。??とハテナがもう一つ浮かびあがる。

「お前らってちんげ生えてる?」
「は?」
「いいからちんこみせろよ」
「やだよ」
流石に抵抗する。
「いいから」
「なんなんだよ、さっきから」
「訳は全部終わったら話すって。とにかく、ほら、俺みたいにツルツルにしてこい」

と言って、健ちゃんはズボンとパンツを降ろし、ちんこをポロンと見せてきた。見事にツルツルだった。

「な?」

そんなこんなで、僕は申し訳程度にチョロチョロ生えかけてたちんげも剃り上げる。
戻ると、健ちゃんはチェックと称して、結局僕らはちんこを見せるはめになった。
今度は、カーペットや服などに転がして埃などを取る紙テープのロールで出来たコロコロを一つづつ渡してきた。


「まだあんのかよ」
「これでとりあえず終わりだって。とにかく女子が来るまでひたすらコロコロして、部屋にゴミ一つないようにしろ。今度はオレもコロコロするから」


また、頭に一つハテナを追加して、僕らは黙々と部屋中コロコロする。???。2時間ほどただただコロコロした。
女子が来てからの作業は、とても楽しいものだった。特筆することはない。本当に楽しい時間を過ごした。模造紙の空いたスペースに僕がイラストを書くと、すごーい、絵が上手いんだねって横瀬さんは褒めてくれた。ただ一つあるとすれば、健ちゃんのおばちゃんがジュースとオヤツを部屋に持ってくると、健ちゃんが猛烈に怒って部屋に上げなかったことくらい。
女子が帰っても、僕ら三人はまだ健ちゃんの部屋にいた。
また健ちゃんは神妙な面持ちで、新しいコロコロを差し出してきた。また部屋の隅々までコロコロしろ、と。

「また?」
「健、いい加減教えろよ、お前今日変過ぎ」
「……」

健ちゃんは少し間をおいてから物々しく口を開く。

「いいだろう。俺ら、今日、髪もちんげも剃ったからツルツルなわけじゃん」
「うん」
「そして、俺の部屋も髪の毛一本も落ちてなかった」
「うん」
「ってことはだ。もし今からコロコロして、縮れた毛や長い毛が落ちていたら、それは女子の誰かの、髪の毛か、あるいはあそこの毛ってことになるんだよ!!」


「!?」「!?」


それはもう、マガジンのヤンキー漫画並に!?が僕と大野の頭上に浮かび上がる。
ひったくるようにコロコロを受け取り、さっきと違って今度は嬉々として僕ら三人は夜遅くまでコロコロした。特に横瀬さんが座ってた位置を僕は念入りにコロコロした。ひたすらコロコロした。
部屋はとっても綺麗だった。

 

それから数日後、僕は生えてくる自分のちんげのチクチクで苦しむことになる。

 

(了)

 

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